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兵生村:紀伊続風土記(現代語訳)


兵生村 ひょうぜい

 田畑高 55石7升2合4勺
 家数  35軒
 人数  160人

福定村 の北、2里にある。この村は荘の艮(※東北※)の隅、栗栖川の源にあってもっとも深山険僻の地である。ゆえにその大きさは東西2里半、南北3里半。北は日高郡の山地荘の丹生川村並びに和州十津川と接し、東は四番荘の近露村と隣る。坤(※西南※)小松原村に至り、南は福定村に至る。2つ道はあるが、険悪でほとんど歩くことができない。当村は田畑が少ないので、山林が繁茂し土地が広大であることから材木を出し、炭を焚き松煙を取るのを業とする。

春日明神社  境内山周4町
 摂社3社 弁財天・神明・八幡宮
村の乾(※北西※)にある。1村の産土神である。

福泉寺  如意山 村の東にある。

安堵ガ峯
村の北に当たる山峯である。麓より登り70町。樹木が鬱蒼と茂って登るのに道がない。樹の間をよじ登って□に登ることができるという。山の艮(※東北※)は和州十津川と接し、頂より18町下って乾(※北西※)は日高郡山地荘に続く。

元弘の乱で大塔宮が切目の五体王子の夢のお告げを得て熊野の方を避けて大和十津川に趣きになるとき、熊野の凶徒が道を遮ることを恐れ、この峯を越えて初めて十津川の地なので、峰に登って安堵したとのことをおっしゃった。これより安堵ガ峰というのだ。

この辺の高山で、山上から望むときは牟婁郡・日高郡の2郡から大和の諸山を一々指し示すことができる。紀州の地形はここに至って地形が□折し東に連なって山峰□□なのを牟婁郡と和州との界とする。南は牟婁郡である。北は和州十津川、北山などの地である。そして安堵ガ峰はその曲折の所に当たって高くそびえて峰を起こす。境界の表示をしてある。

和田ガ峯
安堵ガ峰から北に続いて別に峰を起こしている高峰である。

大滝
高さ30尋余りの大体谷の内にある。

和歌山県田辺市中辺路町兵生

読み方:わかやまけん たなべし なかへちちょう ひょうぜい

郵便番号:〒646-000

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牟婁郡:紀伊続風土記