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新宮:紀伊続風土記(現代語訳)


新宮部上 新宮 しんぐう

熊野速玉大社

新宮

    境内周1里 禁殺生

新宮十二所権現
 第一殿(1丈6尺6寸・2丈6尺6寸)
  結宮  伊弉冉尊、事解男命、熊野夫須美大神

 第二殿(宮造同上)
  速玉宮  御子速玉大神、伊弉諾

 第三殿(1丈4尺1寸・2丈4尺8寸)
  證証殿  家都御子大神、国常立尊

 第四殿(1丈6尺4寸・1丈3尺1寸)
  若宮  天照大神

 第五四社合殿(4丈6尺4寸・1丈3尺1寸)
  禅児宮  天忍穂耳尊
  聖宮   瓊々杵尊
  児宮   彦火火出見尊
  子守宮  □□草葺不合尊

 第六四社合殿(4丈6尺4寸・1丈3尺1寸)
  一万宮・十万宮  国狭槌尊・豊斟渟尊
  勧請宮  泥土煮尊
  飛行宮  大戸之道尊
  米持宮  面足尊

以上十二所権現社。第一殿を西御前と称する。第二殿を中御前と称する。第三殿を證証殿と称する。この3社を三所権現と称する。第四殿を若宮と称する。第五四社合殿を中四社と称する。第六四社合殿を下四社と称する。
  熊野の観光名所:熊野速玉大社

 奥御前社(1丈9尺7寸・1丈3尺1寸)
 三神殿(伊勢大神、住吉大神、出雲大神)
  上記の社は第二殿と第三殿との間で北の方6間ばかり後ろにある。
  ゆえに奥御前と称する。
 礼殿  宝蔵  御輿屋
 神楽所  御供所  管弦所
 輪蔵(方2丈6尺余、4本柱回り1丈3尺)  大日堂  護摩堂
 神官籠所  社僧籠所  花床
 常番所  鐘楼  神馬屋
 東門  西門  南楼門(2丈6尺・1丈3尺、車寄がある)
 鳥居  下馬立石  服忌令制札

末社
 満山社   祀神は八百万神。本社の坤(※西南※)1町ばかりにある。
 今神倉社  荒祭宮という。本社の南2町、山根にある。
 鍵宮    祀神は手力雄命。本社大鳥居の傍にある。
 谷子守社  祀神は菊理姫命。本社の巽(※東南※)7町、谷地にある。
 渡御前社  祀神は神倭磐余彦尊。本社の南7町、山根にある。
         熊野の観光名所:渡御前社
 小阿須賀社 荒祭宮という。本社の西北1町にある。
 妙見社   本社の西5町余にある。
 如法堂   本社の西20町ばかりにある。
 天満宮   如法堂の南にある。
 御船島明神 詳らかに下例祭式の条に見える。
         熊野の観光名所:御船島
  上記の外の末社は新宮城下の条下に載せた。

当社は本宮那智と鼎立して三山と称し、祀る神を十二所権現という。しかしながら十二所権現を祀ることはやや後のことで、その初めは三山共に古く鎮まり座している3座の神を祀る。それは延喜式に載せるところの熊野座神社・熊野早玉神社で、本国神名帳に載せるところの正一位家都御子大神・正一位熊野夫須美大神・正一位御子速玉大神の3大神である。それを仏ざまに三所権現と称する。

御垂跡縁起に「庚午の年の3月23日に熊野新宮の南の神蔵峯にお降りになり、さらに61年が経った庚午の年に新宮の東、阿須賀の社の北、石淵の谷に勧請し静め奉った。初めは結玉家津美御子と申す2宇の社である」とあるのは、出雲国よりこの熊野の地に鎮座したことをいうのだ。神蔵は権現山の古名で、山峯は南の方は佐野荘から連なりわたって、その北の端は熊野川に至って尽き、南北に2里余り相連なる(山峯の北の端を新飯山といい、その南を熊路峯という。その南に高倉下神社がおわす。今これを神倉という。神倉は元はこの山の総名であるが、今は高倉下のおわす所のみを指す名となった)。

石淵の谷は熊野川の北1里余り、鵜殿村の幾弥谷にある。3神がこの地に鎮まり座せるのはいつの御世であることは詳らかではないけれども、だいたい神代のことであろう。その出雲国より鎮座というのは神代巻で一書に (後略)

和歌山県新宮市新宮1番地

読み方:わかやまけん しんぐうし しんぐう

郵便番号:〒647-0081

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牟婁郡:紀伊続風土記